狭間 惠三子
(財)大阪観光コンベンション協会 情報発信担当部長
大阪旋風プロジェクトで、官・民・学から集まった9名の想いを繋ぎ、引っ張ってきた挟間惠三子。彼女が、このプロジェクトを、そして大阪を、どのように見て考え、歩んできたのか。様々な質問を投げかけた結果、これからの大阪に必要なことは、大阪の「人」ひとりひとりが、新しい魅力を発見し、それらを繋ぐ「糊」になる、ということでした。
──改めて、プロジェクトの目的をおしえてください。
大阪旋風プロジェクトは、大阪の固定的なイメージを無くし、一度まっさらにすることで、「新しい大阪を発信しよう」というイメージアップのためのプロジェクトの一つで、まだイメージを固めていないであろう若い世代に向け、様々な組織や立場の人と共に進めていくことを目的としていました。プロジェクトメンバーに入っていただいた理由は、大阪大学コミュニケーションデザインセンターは、一方的に教育をするというだけではなく、外部とのコミュニケーションを取ることが大事であると考えておられたということがあります。専門家と一般市民とが、インターラクティヴに話し合い、問題解決に向けて議論する双方向型のコミュニケーションを目指されています。また大阪大学は、かつて大坂の商人たちが設立した学問所「懐徳堂」を引き継いでおり、市民と大学がともに学ぶ場として21世紀懐徳堂をつくられました。そういったこともあり、ぜひこのプロジェクトに参画していただきたいとお願いしました。さらに、実際に街場で新しい魅力を作り出している人にも入っていただきたいということで、クリエイティブ集団grafの代表である服部滋樹さん、すでに多くの情報を発信しているプロとして京阪神エルマガジン社の蔵均さんにも加わっていただきました。
トークセッション「大阪旋風プロジェクト/大阪重力」
2009.3.17 @東京六本木「SuperDeluxe」
大阪旋風プロジェクト/大阪重力 1/3
大阪旋風プロジェクト/大阪重力 2/3
大阪旋風プロジェクト/大阪重力 3/3
トークセッション「大阪旋風プロジェクト/WHAT IS OSAKA?」
2009.3.31 @大阪梅田ビッグマン前広場
大阪旋風プロジェクト/WHAT IS OSAKA? 1/3
大阪旋風プロジェクト/WHAT IS OSAKA? 2/3
大阪旋風プロジェクト/WHAT IS OSAKA? 3/3
──どのような内容の活動でしたか?
最初は、「そもそも論」から始めました。大阪とは。大阪の新しい魅力とは、そもそも何なのか。果たして誰がそれを言えるのか。誰も確信を持って語ることなどできないでいないのではないか。
そういった議論を踏まえ、私たちが新しい魅力を探し出すプロセスそのものを順々に公開していくことによって、それをご覧下さった方たちも一緒に発見していってもらうというプロジェクトにすることに決定しました。そのため、立ち上げのイベントをわざわざ東京の六本木で開催し、大阪の魅力を探しに行ってきますという内容のサイトを作りました。その後も様々なプロセスを経て、結果的に4冊の本というカタチへと繋がっていきました。「協働」は今のキーワードですが、最終形が見えないままスタートさせ、価値観もミッションも仕事のやり方も違う人たち、つまり「民」と「学」と「官」がゼロベースからフラットに協働することは、かなり画期的な実験であり冒険でした。税金を使わせてもらっている責任、ということも常々考えていました。本に関しては、公共性があるか、ということも考えながら進めていました。最初は観光から少し遠いかなと思っていましたが、今、観光の捉え方、ニーズも様々です。本をみて大阪に行きたくなったという感想もいただいていますし、最終的には小さいながらも大阪のまちにとって、とても意味のある活動になったと思います。
──活動から発見された大阪の新しい魅力とは何ですか?
最初から、大阪の魅力は「人」であるという仮説は立てていました。そして、「つながり」。人によるつながりがとても軽やかで強い街だと言え、それを紡いでいる「人」が魅力。とはいえ、人が魅力といっても、何をわき立たせたればよいのか。そのプロセスとなったのが、成果物としての4冊の本です。大阪のまちに暮らし、働き、遊び、ゆるやかなネットワークを街場で楽しんでいる、そのライフスタイルが個性であると考えました。そこで、我々の身近な人たちの生活を通して、つながりとオリジナリティを創出したのが『osaka・field・trip』です。大阪の人のある種のユニークさや懐の深さみたいなものを、我々の身近な人たちの生きた言葉を聞き出すことでわき立たせたいという想いから作ったものが『インタビューズ』。そして、大阪に縁のあるアーティストによって大阪のまちの魅力を再編したのが『大阪観考』です。これらを通して、「人の魅力」と、人々の活動の場である「まちの魅力」がにじみ出たのではないかと思います。
──読んでくださる方に期待されることはありますか?
最も観光から離れていると思われがちな『インタビューズ』を読んだ東京の知人から、「すごく、おもしろいまちだったんですね。行ってみたくなりました」というメールを何通もいただきました。おもしろい、というのは、有名人ではない普通の人による何気ない日常のやりとりがおもしろいということです。しなやかに生きる人々に強烈なインパクト、あるいは共感を得られたから、メールを下さったのだと思います。
神戸にお住まいのご高齢の方からも「インタビューズ2を手に入れたが、ぜひ1も欲しい」というお電話をいただいたことがあり、世代を超えて何かが伝わったと感じた瞬間でした。
すべての人の共感を呼べるとは思っていませんが、これだけたくさんの人に出ていただいたので、ふと共感できる部分はどなたにもあると信じています。また、こんな人もいるし、こんなまちもあるし、こんな生き方もあるから、元気だしてよ、という励ましでもあります。多様な価値観の中で迷っている若い人にとってはとても意味のある本だと思います。
4冊の本を通してにじみ出ている、大阪の「人」や「まち」、「環境」に呼応して、大阪に行ってみようかな、大阪で暮らしてみようかな、大阪で何かやってみようかな、という想いに繋がることを期待しています。きれいな部分だけでなく、まちの中の様々な部分を表に出したということも含めて、それを許容し、包摂している懐の深いまちなんだ、ということも知っていただきたいですね。
──新しい魅力を発見できた今、さらに望まれることはありますか?
今は、強力なプロデューサーがひとりで引っ張り、大きなムーブメントを起こせる時代ではなくなりました。様々な価値観や考え方をきちんと議論し、合意や反論をまとめながら物事を動かしていくようなリーダーが求められています。一方、誰かと繋がりたい、年代の違う人と繋がりたい、話を聞いてみたい、といったコミュニティの再生に向かっている機運もあると思います。今回のプロジェクトで見えてきた大阪の魅力をひとつの契機として、この魅力をそのまま受け継ぐ、というのではなくて、若い人たちが「僕らはこれがおもしろいんや」と思っていることを自由に出していただければいいと思います。今回のプロジェクトがひとつの起爆剤になり、自分たちで新しい魅力を発見するというムーブメントになってほしいと願います。私たちプロジェクトメンバーも、様々にかかわって下さった方々も、新しい魅力と魅力を繋ぎ合せるつなぎ手=「糊」になっていくことができればいいと思います。このプロジェクトがゴールではなく、これら成果物が出来て、初めてスタートラインに立てたと思います。みなさんと一緒に、つなぎ手としての「糊」になって、ムーブメントを広げ、新しい大阪をつくり、その魅力を発信していきたいですね。
- 平成21年度
- NUMERO東京別冊『NUMERO OSAKA』協賛
- 大阪大学学生によるRPG実施
- 旋風プロジェクトブログ配信開始
- osaka field trip 日本語版発行
- 同上発行PRイベント実施 トークイベント開催
- インタビューズ発行
- 平成22年度
- osaka field trip 英語版発行
- osaka field trip tour 実施
- インタビューズ2発行
- ART TOURISM BOOK 『大阪観考』発行
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