access to Osaka 実施報告

大阪ならではの様々な魅力を探り・発信することで、新しい都市イメージを定着させることを目的に2008年12月からスタートしたプロジェクトです。大阪大学コミュニケーションデザイン・センター、クリエイター、編集者、大阪市、大阪観光コンベンション協会が連携し、官・民・学が協働で取り組みました。トークイベント等、プロセスそのものを公開しながら、最終的には4つのビジュアルファイルが完成。今後は、これらのビジュアルファイルを使って、多くの方々に新しい大阪魅力探しの旅をしていただきたいという願いをこめて、プロジェクトの歩みを報告します。

ビジュアルブック

3年間の活動を振り返って

狭間 惠三子
(財)大阪観光コンベンション協会 情報発信担当部長

大阪旋風プロジェクトで、官・民・学から集まった9名の想いを繋ぎ、引っ張ってきた挟間惠三子。彼女が、このプロジェクトを、そして大阪を、どのように見て考え、歩んできたのか。様々な質問を投げかけた結果、これからの大阪に必要なことは、大阪の「人」ひとりひとりが、新しい魅力を発見し、それらを繋ぐ「糊」になる、ということでした。

──改めて、プロジェクトの目的をおしえてください。

大阪旋風プロジェクトは、大阪の固定的なイメージを無くし、一度まっさらにすることで、「新しい大阪を発信しよう」というイメージアップのためのプロジェクトの一つで、まだイメージを固めていないであろう若い世代に向け、様々な組織や立場の人と共に進めていくことを目的としていました。プロジェクトメンバーに入っていただいた理由は、大阪大学コミュニケーションデザインセンターは、一方的に教育をするというだけではなく、外部とのコミュニケーションを取ることが大事であると考えておられたということがあります。専門家と一般市民とが、インターラクティヴに話し合い、問題解決に向けて議論する双方向型のコミュニケーションを目指されています。また大阪大学は、かつて大坂の商人たちが設立した学問所「懐徳堂」を引き継いでおり、市民と大学がともに学ぶ場として21世紀懐徳堂をつくられました。そういったこともあり、ぜひこのプロジェクトに参画していただきたいとお願いしました。さらに、実際に街場で新しい魅力を作り出している人にも入っていただきたいということで、クリエイティブ集団grafの代表である服部滋樹さん、すでに多くの情報を発信しているプロとして京阪神エルマガジン社の蔵均さんにも加わっていただきました。

トークセッション「大阪旋風プロジェクト/大阪重力」 
2009.3.17 @東京六本木「SuperDeluxe」

大阪旋風プロジェクト/大阪重力 1/3
大阪旋風プロジェクト/大阪重力 2/3
大阪旋風プロジェクト/大阪重力 3/3

トークセッション「大阪旋風プロジェクト/WHAT IS OSAKA?」
2009.3.31 @大阪梅田ビッグマン前広場

大阪旋風プロジェクト/WHAT IS OSAKA? 1/3
大阪旋風プロジェクト/WHAT IS OSAKA? 2/3
大阪旋風プロジェクト/WHAT IS OSAKA? 3/3

──どのような内容の活動でしたか?

最初は、「そもそも論」から始めました。大阪とは。大阪の新しい魅力とは、そもそも何なのか。果たして誰がそれを言えるのか。誰も確信を持って語ることなどできないでいないのではないか。

そういった議論を踏まえ、私たちが新しい魅力を探し出すプロセスそのものを順々に公開していくことによって、それをご覧下さった方たちも一緒に発見していってもらうというプロジェクトにすることに決定しました。そのため、立ち上げのイベントをわざわざ東京の六本木で開催し、大阪の魅力を探しに行ってきますという内容のサイトを作りました。その後も様々なプロセスを経て、結果的に4冊の本というカタチへと繋がっていきました。「協働」は今のキーワードですが、最終形が見えないままスタートさせ、価値観もミッションも仕事のやり方も違う人たち、つまり「民」と「学」と「官」がゼロベースからフラットに協働することは、かなり画期的な実験であり冒険でした。税金を使わせてもらっている責任、ということも常々考えていました。本に関しては、公共性があるか、ということも考えながら進めていました。最初は観光から少し遠いかなと思っていましたが、今、観光の捉え方、ニーズも様々です。本をみて大阪に行きたくなったという感想もいただいていますし、最終的には小さいながらも大阪のまちにとって、とても意味のある活動になったと思います。

──活動から発見された大阪の新しい魅力とは何ですか?

最初から、大阪の魅力は「人」であるという仮説は立てていました。そして、「つながり」。人によるつながりがとても軽やかで強い街だと言え、それを紡いでいる「人」が魅力。とはいえ、人が魅力といっても、何をわき立たせたればよいのか。そのプロセスとなったのが、成果物としての4冊の本です。大阪のまちに暮らし、働き、遊び、ゆるやかなネットワークを街場で楽しんでいる、そのライフスタイルが個性であると考えました。そこで、我々の身近な人たちの生活を通して、つながりとオリジナリティを創出したのが『osaka・field・trip』です。大阪の人のある種のユニークさや懐の深さみたいなものを、我々の身近な人たちの生きた言葉を聞き出すことでわき立たせたいという想いから作ったものが『インタビューズ』。そして、大阪に縁のあるアーティストによって大阪のまちの魅力を再編したのが『大阪観考』です。これらを通して、「人の魅力」と、人々の活動の場である「まちの魅力」がにじみ出たのではないかと思います。

──読んでくださる方に期待されることはありますか?

最も観光から離れていると思われがちな『インタビューズ』を読んだ東京の知人から、「すごく、おもしろいまちだったんですね。行ってみたくなりました」というメールを何通もいただきました。おもしろい、というのは、有名人ではない普通の人による何気ない日常のやりとりがおもしろいということです。しなやかに生きる人々に強烈なインパクト、あるいは共感を得られたから、メールを下さったのだと思います。

神戸にお住まいのご高齢の方からも「インタビューズ2を手に入れたが、ぜひ1も欲しい」というお電話をいただいたことがあり、世代を超えて何かが伝わったと感じた瞬間でした。 すべての人の共感を呼べるとは思っていませんが、これだけたくさんの人に出ていただいたので、ふと共感できる部分はどなたにもあると信じています。また、こんな人もいるし、こんなまちもあるし、こんな生き方もあるから、元気だしてよ、という励ましでもあります。多様な価値観の中で迷っている若い人にとってはとても意味のある本だと思います。
4冊の本を通してにじみ出ている、大阪の「人」や「まち」、「環境」に呼応して、大阪に行ってみようかな、大阪で暮らしてみようかな、大阪で何かやってみようかな、という想いに繋がることを期待しています。きれいな部分だけでなく、まちの中の様々な部分を表に出したということも含めて、それを許容し、包摂している懐の深いまちなんだ、ということも知っていただきたいですね。

──新しい魅力を発見できた今、さらに望まれることはありますか?

今は、強力なプロデューサーがひとりで引っ張り、大きなムーブメントを起こせる時代ではなくなりました。様々な価値観や考え方をきちんと議論し、合意や反論をまとめながら物事を動かしていくようなリーダーが求められています。一方、誰かと繋がりたい、年代の違う人と繋がりたい、話を聞いてみたい、といったコミュニティの再生に向かっている機運もあると思います。今回のプロジェクトで見えてきた大阪の魅力をひとつの契機として、この魅力をそのまま受け継ぐ、というのではなくて、若い人たちが「僕らはこれがおもしろいんや」と思っていることを自由に出していただければいいと思います。今回のプロジェクトがひとつの起爆剤になり、自分たちで新しい魅力を発見するというムーブメントになってほしいと願います。私たちプロジェクトメンバーも、様々にかかわって下さった方々も、新しい魅力と魅力を繋ぎ合せるつなぎ手=「糊」になっていくことができればいいと思います。このプロジェクトがゴールではなく、これら成果物が出来て、初めてスタートラインに立てたと思います。みなさんと一緒に、つなぎ手としての「糊」になって、ムーブメントを広げ、新しい大阪をつくり、その魅力を発信していきたいですね。

大阪旋風プロジェクト実施事業

平成20年度
東京でのキックオフイベント実施
大阪でのトークイベント実施
大阪旋風プロジェクトHP配信
平成21年度
NUMERO東京別冊『NUMERO OSAKA』協賛
大阪大学学生によるRPG実施
旋風プロジェクトブログ配信開始
osaka field trip 日本語版発行
同上発行PRイベント実施 トークイベント開催
インタビューズ発行
平成22年度
osaka field trip 英語版発行
osaka field trip tour 実施
インタビューズ2発行
ART TOURISM BOOK 『大阪観考』発行
ダウンロード
「access to Osaka」実施報告(平成23年3月)pdf file (487KB)
contact
(財)大阪観光コンベンション協会
大阪市中央区南船場4-4-21 りそな船場ビル5F 〒542-0081
TEL: 06-6282-5917 FAX: 06-6282-5915
E-mail: osakaimage@octb.jp

これまでマスメディアが注目してきた大阪は、いつも決まっておなじこと。たこ焼き、お笑い、道頓堀、通天閣、関西弁…。けれども、ステレオタイプな大阪のほかにも、大阪の魅力はあるはず。それなら、今までと違った視点で、探してみようよ。探しあてた「大阪」へのアクセス方法を、さまざまなかたちで伝えていこうよ。そんな想いで生まれたプロジェクトが、access to Osaka。ここから、新しい大阪とつながっていけます。

  (50音順)

荒木 基次
大阪大学21世紀懐徳堂
特任研究員

access to Osakaに関しては、このプロジェクトのテーマである若い人々が活躍してくださって、このような成果となりました。
私はかねがね、かつての大阪万博のように、日本を巻き込んでおもしろいことをやろうという力や、連携力、プロデュース力が大阪は落ちたのではないかと思っています。そこで、(大阪観考で、心斎橋空想美術館というテーマで森村さんとの対談に出ておられる)橋爪節也さんと、地道に草の根的に大阪の良きところを訪ねる“街歩き”を小規模ながら行っています。大阪が持つ本来の魅力がなかなか多くの人々に知られていなく、知る人ぞ知るということで終わっていることに焦燥感を感じてのことです。もっと本来大阪が持つ魅力に気づく仕組みを、官民ともに作っていって欲しいですね。そうすればもっと若い人も大阪の魅力を楽しめると思います。

木ノ下 智恵子
大阪大学コミュニケーションデザイン・センター 特任准教授
『大阪観考』企画監修担当

大阪のイメージアップに寄与するキャンペーンを実施するということで、お話をいただいた。獏としたお話ではあったが、3年間というタームで実施できるということであったので、お引き受けしました。そこで、まずはキックオフイベントを実施し、「大阪しい=大阪らしい・大阪ならでは」という言葉を出していただき、それを体現するために対話を重ね、トライ&エラーを繰り返しながら、3テーマの媒体という成果物を残すことになりました。これは稀有なプロジェクトであり、観光面だけでなく、文化面の観点からでも、新しい提案ができるものとなったと思います。官・民・学が連携し、協働することは、新しいものを作り出す原動力になり、可能性を生み出す根拠になる。すべてにおける次のステップへのコミュニケーション術を実践できたのではないでしょうか。そして、大阪の資産は、人である。これは、世界にも発信できると確信できる結果となりました。

金水 敏
大阪大学コミュニケーションデザイン・センター センター長、大阪大学大学院 文学研究科 教授

各種プロの目線が関わっている中で、大学の役割は、ある種の異物感であったように思います。どこにも所属していない。ふわふわしているようで、考える時はとことん考える。採算に乗らない、行政目線から外れたものでも、まるごと引き受けてカタチを与えることができるのは大学の役割だと今回の活動を通じて認識しました。そうやって出来たものは、やはり異物。とてつもない異物が産み落とされた。かわいい異物、かわいくない異物、気持ち悪い異物。そういう異物を生み出すことができたのは、大学が参加した値打ちであると考えます。異物はゴロンと存在が残り続ける。本がなくなったとしても、記憶に残る。扱いに困る程度の変な物ができてしまったことは、すごい資産。大阪でなければ生み出せなかった資産です。この資産を大事にし、より育てていってほしい。そのエネルギーを拡散してほしいですね。

久保田 テツ
大阪大学コミュニケーションデザイン・センター 特任准教授
『インタビューズ1』
『インタビューズ2』企画担当

この媒体『インタビューズ』を行政からよく出せたな、ということを制作しておきながら思います。それに対する驚きと称賛の声を周りからもいただいています。これまでの大阪の固定されたイメージ以外を真面目に考える時には、ある種の制約は突き抜けざるをえないことでもありました。今回、それを実践したことに爽快感を持っていますし、プロジェクトメンバー各位、大阪市、大阪観光コンベンション協会に感謝する次第です。すべてにおいて、大阪という土地の懐の深さを体現しているすばらしいプロジェクトでした。今後、地域文化を広く伝えようとする時、こういった取り組みは間違いなく効果があると思います。これからも、普段では表に出ないような既成概念を取り払ってくれる人たちを、恐れずに掘り下げてもらいたいと思いますし、そういった取り組みが地域を活性化すると感じています。

蔵 均
(株)京阪神エルマガジン社
『Meets Regional』編集長
『osaka field trip』企画監修担当

今回のプロジェクトは、行政の方が関わる仕事としては、かなり画期的だったと言えます。編集者の立場から成果物である本についていうならば、実は、行政の方が作られる本やパンフレットをいつも肯定的には見ていませんでしたが、出来上がった4冊は、これまでを突き抜けている。
結構思いきった、旋風という名にふさわしいものになったと思います。
これからも、このような発信を続けていけば、大阪の個性がもっともっと際立っていくのではないでしょうか。

西迫 登
(財)大阪観光コンベンション協会 プロモーション担当部長

今回、素晴らしいプロジェクトに参加させていただけたことに感謝申し上げたい。これまで自分の切り口で大阪観光を語ってきたつもりですが、3種類の全く違う切り口で語る人たちの能力は凄すぎました。今は、その能力に近づき、新しい切り口で大阪をプロモーションできるように、じっくり読み込むなどして精一杯努力している最中です。とはいえ、4冊を同時に読んでもらうと、きっと誰もが、自分でそこから新しい観光を楽しんでいただけることは確実です。今後、一番大切なのは、これが遺産となること。そして、遺産として埋めてしまうのではなく、次の世代のメンバーが切り口を出し合っていくことです。

服部 滋樹
graf代表
『osaka field trip』企画監修担当

観光とは、信頼できる人から情報を得て、その土地とつながっていくこと。『osaka field trip』では、僕らが暮らしているコミュニティを紹介できたことで、それを実現でき、満足いくものになりました。本を持って靭公園周辺や中崎町周辺を歩いている人、又、英語版を持ったアジアの人たちも見かけますが、その人たちへ、「大阪にもほんわかしたコミュニティがあるんやで」ということが伝わったのかな、と。今後は、多くの視点が加わっていけば、多種多様な大阪の魅力をもっと知ってもらえることになるので、さらに新しい視点を出していくことが必要なことですね。

花田 公絵
大阪市ゆとりとみどり振興局
  観光担当部長

国内においては、「イメージアップ」、海外に対しては、「知名度の向上」という想いからはじまったプロジェクトです。では、どういうイメージでいくのかを多くの方と話せば話すほど確定できない。そこで「なんでもありの大阪というのが、大阪ですよ」ということを売っていくことにしました。首都圏の若い人たちに、新しい大阪を知ってもらおうと、彼らのことを理解しているであろう方たちの力をお借りし、試行錯誤しながら進めてきて、幸いにして、成果物ができあがったことは嬉しく思います。4冊をセットにして大阪のいろんな魅力をアピールするために、引き続きプロモーションをしていきつつ、今後とも多くの方のアドバイスをいただきながら、新しい大阪の魅力を発信し続けていきたいと思います。

読者からの反応

<osaka field trip>

<インタビューズ>